著者
佐野 昌典 菅原 冬樹 田中 修
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.161-170, 2001-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

シュレッダーで2ミリ角に細断した段ボールを,5種のキノコ,クモギタケ,ヒラタケ,エノキタケ,ブナシメジ,エリンギの栽培に,100パーセントおが粉に変わる素材として用いることを試みた.菌糸の増殖,子実体形成までの日数,子実体収量について,おが粉,段ボールを培養素材とした場合を比較検討した.その結果,クモギタケとヒラタケの菌糸増殖,子実体形成までの栽培日数,子実体収量は,段ボールの培養基材により,良い傾向が見られた.また,他の3種のキノコも,2種の培養基材により,培養日数に差が生じる傾向は見られなかった.しかし,段ボールの培地によって子実体収量が増加する傾向を示した.
著者
中家 陽子
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.27-30, 2000-04-25

きのこは古来から重要な食材や薬材として日本人に好まれ,その需要を満たすためきのこの人工栽培法が開発されてきた.また,近年の輸送技術や交通網の発達,グルメブーム等により多種多様のきのこが世界中から大量に輸入されるようになった.とくに輸入マツタケは,原産国の多様化、輸入量の増大ともに瞠目させられる.これは,日本人に最も好まれていること,需要が大きいにも関わらず国内での供給が不足していることを示している.輸入きのこの種類と量は季節により変動し,日本の四季を反映している.また,グルメブームにのって日本に登場した珍しいきのこが日本の食卓に取り入れられ,定着している様子が窺える.日本初の24時間空港である関西空港には将来第2滑走路が完成する予定であり,これに伴う便数や路線の変化がきのこの輸入量や原産国に与える影響は興味深い.その一方で多様化・大量化する輸入きのこの衛生確保も重要な問題である.
著者
坂本 裕一 小倉 健夫
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.85-91, 2003-07-25

アミガサタケの栽培方法を確立するために,菌核の形成方法を検討した.アミガサタケは腐生菌の培養に用いられているバーク堆肥よりも,穀物を用いた培地の方が良好な菌核発生を示した.また,穀物培地を用いた場合,培地中に空隙があることが重要であることが明らかとなった.さらに,上段に貧栄養の土壌培地,下段に富栄養の穀物培地を重ねた二段培地上に菌核を移したところ,菌核がより大きく生長することが確認できた.菌核の生長は上段の培地がpH7.5の時が最も良かった.菌核は土などを巻き込みながら近くの菌核と融合して直径3〜4cm程度の大きさに生長し,子実体の発生には充分であると期待される大きさに達した.